この記事の要点
- 店頭で手渡すのとネットに置くのは同じ物販でも扱いが違う。ネットは通信販売にあたり表示の義務がつく
- 特定商取引法に基づく表記は、お金のこと、受け取りと返品のこと、売る人のことの3つに分けると書きやすい
- 住所と電話番号は条件を満たせば請求があったときに開示する形にできる。ただし氏名は省略できない
- 2022年6月施行の改正で、注文を確定する直前の画面にも表示の義務がついた。定期便を作るなら関係する
- 化粧品で書ける効能効果は範囲が決まっている。仕入れた商品は小分けや詰め替えをせず、箱のまま売る
施術のあとに、ホームケアの商品を手渡している。
その商品を、来られないお客さんにも買ってもらえるようにしたい。
そう思ってネットショップを開こうとすると、店頭では出てこなかった言葉が急に増えます。
特定商取引法に基づく表記。返品特約。薬機法。
どれも読んだことはあるけれど、自分の店で何を書けばいいのかまでは書いていません。
この記事では、開く前に決めておくことを順番に並べます。
売り方の工夫の話ではなく、出すときに止まらないようにするための準備の話です。
店頭で売るのとネットで売るのの違い
同じ商品でも、手渡しとネットでは扱いが変わります。
ネットに置いて注文を受ける形は、通信販売にあたります。
お客さんは現物を見られないまま、画面の情報だけで決めることになります。
だから、誰が売っているのか、いくらで、いつ届いて、合わなかったらどうなるのか。
この4つを先に見せることが、売る側の義務になっています。
- 現物を見て決める
- その場で渡す
- 顔が見えている
- 画面だけで決める
- あとから届く
- 売る人を書いて示す
増えるのは作業ではなく、先に見せておく情報のほうです。
店頭の接客が足りないという話ではありません。
見えない相手に向けて、同じことを文字で置き直す作業だと考えると近いです。
特商法に基づく表記で書くこと
消費者庁の特定商取引法ガイドでは、通信販売の広告に表示する事項が決められています。
販売価格と送料。
代金の支払いの時期と方法。
商品が届く時期。
申し込みの撤回や解除に関すること。返品の条件を決めているならその中身。
そして、事業者の氏名、住所、電話番号です。
項目を順番に眺めると長く見えますが、3つの塊に分けると書きやすくなります。
法人か個人か、扱う商品によって書き足す項目があります。
置き場所にも決まりがあります。
パソコンの画面でスクロールや画面の切り替えをしなくても分かる形が望ましい、とされています。
フッターのリンク1本で終わらせず、買い物かごの近くからも行けるようにしておくと安心です。
返品のところは、とくに先に決めておいてください。
通信販売には、店頭のようなクーリングオフの制度はありません。
そのかわり、返品に関する特約を広告に書いていない場合は、商品を受け取った日から数えて一定の期間、お客さんの側の送料負担で返品を受けることになります。
化粧品は開封したら戻せないものが多いので、未開封に限る、といった条件を自分の言葉で決めて、先に書いておくほうが穏やかです。
書いていないから断れる、にはなりません。
自宅の住所を出さない方法と条件
自宅サロンの場合、いちばん手が止まるのがここだと思います。
住所と電話番号は、条件を満たせば、請求があったときに遅滞なく開示すると書いて代えられる場合があります。
ただし、書けば済むものではありません。
買う前のお客さんから請求が来たとき、すぐ答えられる連絡先と体制があることが前提になります。
バーチャルオフィスや出店先の住所を出す形もあります。
この場合も、運営している側が本人の住所と電話番号を把握していて、確実に連絡が取れる状態が求められます。
2026年9月時点の解説をもとにした整理です。開く前に出店先の案内も確かめてください。
屋号を大きく出して、本名をどこにも書かない形は取れません。
先に決めておくと、ショップを作り始めてから止まらずに済みます。
注文の最終確認画面に要る表示
2022年6月1日に施行された改正で、表示の場所がひとつ増えました。
注文を確定する直前の画面、いわゆる最終確認画面です。
ここに、分量、販売価格、支払いの時期と方法、引き渡しの時期、申し込み期間があるならその期限、撤回や解除に関することを、分かりやすく表示することが義務になりました。
2回目以降も続く契約なら、各回の分量、2回目以降を含む代金、請求と発送の時期も出す形になります。
既存のネットショップを使うなら、この画面は設定で作られていることが多いです。
あわせて、誤解させる表示も禁じられました。
続く契約なのに、お試しという言葉だけを大きく出して、1回きりに見せる出し方がこれにあたります。
サロンで定期便や毎月のホームケア便を作るなら、ここは必ず通る場所です。
化粧品で言えることと言えないこと
商品説明を書き始めると、書きたいことのほとんどが効果の話になります。
化粧品の広告で書ける効能効果は、あらかじめ範囲が決められています。
その範囲を超えた言い方は、医薬品のような効果を示したものと見なされます。
治る、消える、改善する。
こうした言い方は、書いた本人にその気がなくても同じ扱いになります。
- シミが消える
- ニキビが治る
- 飲んで痩せる
- お客様の声で効果を示す
- 使う順番と量
- 香りと使い心地
- 内容量と成分表示
- どんな日に使うか
右側は全部、確かめられる事実です。事実を増やすほうが書きやすくなります。
体験談やビフォーアフターで見せる売り方も、避けておくほうが安全です。
紹介した側も問われる方向に変わってきているので、自分の店の言葉としても持たないほうが楽になります。
説明の重心を、効果から使い方へ移す。
これだけで書ける文章はかなり増えます。
たとえば、夜だけ使うのか朝も使うのか。
何プッシュ使うのか、どこから塗るのか、次に何を重ねるのか。
サロンでお客さんに口で伝えている内容が、そのまま商品ページの中身になります。
施術のあとに毎回説明していることを思い出して、そこから書き出してみてください。
仕入れた商品をそのまま売る線引き
もうひとつ、商品そのものの扱いにも線があります。
仕入れた化粧品を、容器や箱のまま売るぶんには、通常は販売として扱われます。
一方で、中身を小分けしたり、詰め替えたり、自分で作ったものを売ったりすると、製造の側の話になります。
こちらは許可が要る領域なので、思いつきで始められません。
法令で定められた表示事項が書かれていないものも、そのままでは売れません。
サンプルを配る場合も、扱いが変わることがあるので仕入れ先に確認してください。
法律とは別に、仕入れ先との取り決めもあります。
サロン専売品はネット販売を認めていないことがあり、認めている場合も価格や見せ方に条件が付くことがあります。
並べる前に、担当者へ文面で確認しておいてください。
あとから外すことになると、写真も説明文も作り直しになります。
開く前に決める3つ
やることを並べると多く見えますが、決める順番は3つです。
3番目は、集客の話にもつながります。
出店先のサービスの中だけに商品を置くと、お客さんとのつながりもその中にしか残りません。
自分のドメインを持っておく考え方は、SNSのBANに備える自分のサイトの作り方にまとめています。
店頭での置き方を先に見直したい場合は、サロン物販が売れない理由のほうが近いです。
ここまでが、開く前に片づく部分です。
表示の文章さえ用意してしまえば、あとは商品の写真と説明を足していく作業になります。
書き出してみて、自分の店だとどう書けばいいのか判断が付かないところが残ったら、お問い合わせから聞いてください。
表示のきまりは改定されます。
この記事は2026年9月時点の消費者庁の案内と各サービスの公開情報をもとに整理したものなので、開く直前にもう一度、出店先の案内を見ておいてください。
よくある質問
店頭で売っている商品をネットに並べるだけでも届け出は要りますか
仕入れた化粧品を容器や箱のまま売るだけなら、化粧品の製造や輸入にあたる許可の話は通常出てきません。要るのはネットの側の表示です。特定商取引法に基づく表記のページを作り、ページから見える場所に置いてください。小分けや詰め替え、手作りのものを売る場合は話が変わるので、先に確認が必要です。
自宅サロンです。住所と電話番号を出したくありません
条件を満たせば、請求があったら遅滞なく開示すると書いて代えられる場合があります。そのためには、購入前に問い合わせが来たときすぐ答えられる連絡先と体制が要ります。バーチャルオフィスや出店先の住所を出す形もありますが、運営側が本人の住所と電話を把握して確実に連絡が取れる状態が前提になります。氏名だけは省略できません。
メーカーから仕入れた商品をネットに出してもいいですか
法律の話とは別に、仕入れ先との取り決めがあります。サロン専売品はネット販売を認めていないことがあり、認めていても価格や掲載の仕方に条件が付く場合があります。並べる前に、担当者に文面で確認しておくと後戻りが減ります。
商品の説明にどこまで書けますか
化粧品の広告で書ける効能効果は、あらかじめ決められた範囲に限られています。範囲を超えた言い方は医薬品のような効果を示したと見なされます。使い方、使う順番、香りや使い心地、内容量といった事実は書けるので、説明の重心をそちらへ移すと安全側に寄せられます。
定期便やサブスクを作るときに気をつけることはありますか
2022年6月1日に施行された改正で、注文を確定する直前の画面に、分量、金額、支払いの時期と方法、届く時期、やめ方などを分かりやすく表示することが義務になりました。2回目以降も続く契約なのに、お試しという言葉だけを目立たせて誤解させる出し方も禁止されています。
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