この記事の要点

  • 知り合いへの依頼で一番よくない状態は、金額を決めないまま始めてしまうこと
  • 無料で頼むのは値引きではなく、相手の時間をそのまま受け取っていること
  • 受ける側が断れずに続けると、実績にも売上にもならない時間だけが積み上がる
  • 動画編集の修正は1回2,000円前後が相場。無料でやらせているなら相応の負担をかけている
  • 金額を言い出すタイミングは、始めたあとには来ない。最初の一往復で決める

紹介や知り合いから仕事を頼まれると、金額の話が後回しになります。

そして後回しになったまま、案件が終わります。次の依頼が来ます。また金額の話をしないまま始まります。 これが何度か続くと、もう言い出せなくなります。

これは受ける側だけの問題ではありません。頼む側も同じくらい損をしています。この記事は、その両方から見て書きます。

無料で頼むのは、値引きではありません

まず、頼む側の話からです。

知り合いだから、と無料でお願いすること自体は、悪意のある行為ではありません。むしろ「お金を取るような関係じゃないよね」という善意から来ていることの方が多いはずです。

でも、実際に起きていることを言葉にすると、こうなります。

相手の時間を、そのまま受け取っています。

動画を1本編集するのに3時間かかるなら、無料で頼むということは、その人の3時間をもらうということです。値段が付いていないだけで、発生しているコストはゼロではありません。

ここが分かりにくいのは、時間が目に見えないからです。もし相手が材料を買って何かを作るなら、材料費を払わないのは明らかにおかしいと分かります。でも作業の時間は、目に見えないので受け取っている実感がありません。

相場を知らないだけ、という場合も多いです

頼む側が悪意なく無料で頼んでしまう原因の1つは、その作業にいくらかかるのかを知らないことです。

たとえば動画編集の場合、修正は1回2,000円前後が相場です。 依頼した動画に「ここ直して」と言うたびに、それくらいの作業が発生しています。

このことを知らないと、修正の依頼は無料だと思ってしまいます。文章で「ここを直してください」と送るだけなので、送る側の負担はほぼゼロです。だから何度でも送れてしまいます。

受け取る側では、1回ごとに作業が発生しています。

もし今、修正を無料でやってもらっているなら、その回数を数えてみてください。3回直してもらっていたら、それだけで6,000円分の作業です。相手はそれを黙って引き受けています。

受ける側は、ボランティアになっていきます

次に、受ける側の話です。

紹介や知り合いからの依頼を、金額を決めずに引き受ける。最初は「今回だけ」のつもりです。実績にもなるし、と考えます。

でも1回受けると、次も同じ条件になります。 相手の中では、その金額があなたの標準になっているからです。

そして、いつの間にかこうなります。

  • 作業時間は取られている
  • 金額は発生していない
  • 実績としても出しにくい(無料でやったものを事例にしにくい)
  • 断ると関係が悪くなりそうで、断れない

これはボランティア活動です。 ボランティアが悪いわけではありません。ただ、事業としてやっているつもりなら、この状態が続く限り一生稼げません。

しかも厄介なのは、忙しさだけは本物だということです。時間は埋まっているので、新しい仕事を取りに行く余裕もなくなります。稼げないまま、忙しい。一番苦しいパターンです。

なぜ、言い出せなくなるのか

両側とも「言った方がいい」と分かっているのに、言えません。理由ははっきりしています。

金額を言い出すタイミングは、始めたあとには来ないからです。

作業が始まってしまうと、「ところでこれ、おいくらですか」と聞くのは、値段を確かめてから買うかどうか決めるような形になります。相手はもう手を動かしているので、聞きにくい。

受ける側も同じです。もう半分やってしまったものに、あとから金額を付けるのは請求のように見えます。だから今回は黙って、次から言おうと考えます。

そして次も同じことが起きます。

つまりこれは、意志の弱さの問題ではありません。タイミングの構造の問題です。 唯一の解決策は、始まる前に決めることしかありません。

最初の一往復で決めておくこと

難しいことは要りません。最初のやり取りで、この3つだけ決めてください。

1. いくらか

頼む側が相場を知らないなら、そのまま聞いてかまいません。

「いくらでやってもらえますか」と聞くのは、失礼ではありません。むしろ、金額を決めないまま進める方が、後で気まずくなります。

受ける側は、聞かれる前に自分から出すのが理想です。相手は聞きにくいと思っているので、こちらから出すと相手が楽になります。

2. どこまでが1回分か

ここが抜けると、必ずもめます。

修正は何回まで含むのか。 決めておかないと、頼む側は無限に直せると思い、受ける側は延々と作業が続きます。

「初回の修正1回までは含む、それ以降は1回2,000円」のように、回数と金額を先に置いておくだけで、お互いが安心して直せるようになります。

回数を決めるのは、頼む側にとっても得です。 遠慮して言えなかった修正を、堂々と言えるようになるからです。

3. 割り引くなら、割り引いたと分かる形にする

友達価格は、あってかまいません。ただし割引であって、無料ではありません。

「本当は3万円だけど、今回は2万円で」と伝えるだけで、相手は何をしてもらったのかが分かります。分かるからこそ、感謝も生まれるし、次に紹介もしてくれます。

黙って安くすると、その安さが標準になります。 感謝もされず、値段だけが下がります。これは受ける側にとって一番損な形です。

紹介の場合は、紹介者に金額を伝えておく

紹介で一番よくないのは、当事者どうしが直接、値段の話から始めることです。

紹介された側は断りにくく、紹介した側も気を遣います。ここで空気を読み合うと、たいてい安い方に流れます。

これを避けるには、紹介者に先に金額を伝えておくのが一番簡単です。「うちはこういう料金でやっています」と伝えておけば、紹介の時点でその条件が共有されます。当事者が会ったときには、すでに前提が揃っています。

紹介してくれる人にとっても、この方が紹介しやすくなります。金額を知らないまま人を紹介するのは、その人にとってもリスクだからです。

今すでに、なあなあになっている場合

過去の分を遡って請求するのは、現実的には難しいです。無理にやると関係が壊れます。

現実的な方法は1つです。

次の依頼が来たときが、切り出すタイミングです。

「前回までは慣れていなかったので、こちらの案内が抜けていました。次からはこの形でお願いしています」

こう言えば、相手を責めることにもならず、自分が悪者にもなりません。過去を蒸し返さず、これからだけを変える言い方が一番通ります。

そしてもし、これで関係が終わるなら、それはもともと金額を払う気がなかった相手だったということです。早く分かってよかった、と考えるのが健全です。

まとめ

  • 無料で頼むのは値引きではなく、相手の時間をそのまま受け取っていること
  • 受ける側が断れずに続けると、忙しいのに稼げない状態になる
  • 金額を言い出すタイミングは、始めたあとには来ない
  • 決めるのは3つだけ。いくらか、どこまでが1回分か、割り引くなら割引と分かる形にする
  • 紹介なら、紹介者に先に金額を伝えておく
  • すでになあなあなら、次の依頼のときに「次からはこの形で」と言う

お金の話をすることは、関係を壊す行為ではありません。決めないまま進めることの方が、あとで関係を壊します。

そしてこれは、単発の取引の話ではありません。長く付き合える外注先を持てるかどうかの話です。続く関係は、続けられる条件の上にしか成り立ちません。この考え方の全体像は、SNS集客がうまくいかない本当の理由に書いています。

よくある質問

知り合いに頼むとき、いくら払えばいいか分かりません

相場が分からないなら、そのまま相手に聞いてください。いくらでやってもらえますかと聞くのは失礼ではありません。金額を決めないまま進める方が、結果的に失礼になります。

友達価格でお願いするのは悪いことですか

悪くありません。ただし友達価格は割引であって無料ではありません。いくら割り引いてもらったのかをお互いが分かっている状態にしてください。

受ける側です。今さら金額の話を切り出せません

次の依頼のタイミングが切り出しどきです。今回の分を遡って請求するのは難しいので、次からこうさせてくださいという形にすると言いやすくなります。

修正は何回まで無料にするのが普通ですか

案件によりますが、初回の修正1回までを含み、それ以降は1回いくらと決めておく形がよく使われます。回数を決めておくこと自体が目的です。

紹介だと値切られやすいのですが、どうすればいいですか

紹介者に金額を伝えておくと、紹介の時点で条件が共有されます。当事者どうしで値段の話を始めると、断りにくい空気ができてしまいます。

仕組みごと任せたい方へ

サイト制作、SNS運用、公式LINEの設計、広告の受け皿づくりまで。単発の制作ではなく、続く形をつくるところからお引き受けしています。

できることを見る